大迫傑はMGC (Marathon Grand Championship)を終えてすぐにAce Hotel Kyotoと共同開催したSugar Eliteを実施した。その後Sugar Elite Asian Tourへ向かった。香港、台湾、マカオでいくつものイベントに積極的に参加し、アジアのランナーたちと有意義な時間を過ごした。1週間ほどの滞在の後、帰国。その後、文藝春秋(Number)が主催したトークイベントに参加した。相変わらず物凄いスピードとテンポでアクティベーションを進めて行く。雨が降りしきる壮絶な42kmのレースを戦い抜いた大迫。いつ身体を休めているのだろうか。
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厳かな雰囲気の漂う文藝春秋のロビーは、チケットに当選した50名ほどの人たちで埋め尽くされていた。大迫は白いエアーフォース1、ジーパン、ネイビーのニットというカジュアルなスタイルで、ニュートラルなオーラで現れた。どこかすっきりしているような、またこの日を少し楽しみにしていたように見えた。
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トークイベントは数字をキーワードとして進行された。
MGC3位について。
2度目の現役生活について。
東京オリンピックでの6位。
パリへの道のり2024。
大迫の3つのプロジェクト。
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大迫傑というランナーは言葉を持っているアスリートである。この1時間のトークイベントの中でも、心に響くような、そして考えさせられるような言葉がいくつかあった。
その中で今日も記憶に残っているものをいくつか。
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「自分自身のチャレンジの中に発見がある」
「課題がある。それをどうすると解決できるのかを考えることで自分の成長に繋がっていく」
「走りながらずっと試している。身体の使い方や意識。試すことって必要」
「自分の1日の生活スケジュールを決めてしまうと良い。やることが前にあればやるしかない。自分の中で決めていく。それができると強くなれる」
「マラソンをして、一人になって、淡々と自分と向き合うことによって本質に近づけているという想いがある」
「マラソンって・・・ちょっと死に向かってるというか・・それに近いものがある」
「苦しいことに向かっていることは、自分を成長させてくれる。レースとそれまでの過程が好き」
「僕のポートランドでの生活を活かして、次世代の才能を伸ばしていけるような活動ができればと思っている」
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抽象的で時にとても具体的。何を言っているのかというよりは、誰がそれを言っているのかが大切だと感じる瞬間が何度も訪れた。more action less talkを実行しているからに尽きるのだろう。美しく跳ぶように走る大迫傑は素敵。けれども思考する大迫は同じくらい魅力的。
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余談。トークイベントが終わると、ポケットに隠し持っていたSugar Eliteのステッカーを最前列に座っていたお客さんに手渡ししながら退室して行った。早い時間に来て下さっていた方々への彼なりの小さな感謝だったように見えた。チャーミングな一面。また記憶に残った。
文章:足立公平
写真:松本昇大