世界との差を縮めるためにアスリートファーストを掲げるレースが、福岡にて開催された。世界のマラソンはすでに非公式ながらも2時間という壁を越えている。日本の陸上競技が世界と渡り合っていくためにも「進化」が必要となる。進化のため、世界への挑戦の機会を福岡でという位置付けのレースである。この新しい試みを主催したのは、11月6日にニューヨークを走り終えたばかりの大迫傑である。

2022年2月にレースに戻ることを決意。その後もSugar Eliteのイベントやメディア「SKETCH BOOK」の活動を精力的に実施。7月、集中した走り込みのためアリゾナへ。10月、GMOとのパートナーシップを発表。11月、ニューヨークマラソンに出場。そしてThe Fst in Fukuoka 2022。凄まじいタイム感である。

そしてどの試みも「新しさ」という魔法がかかっている。普段は穏やかで美しい散歩コースとジョギングコースであろう大濠公園(福岡市中央区)。11月12日はアスリートたちが1秒を競い合う緊張感のあるレースコース。日常を非日常へと変える不思議さは多くのランナーや観客を魅了していた。このような新しい取り組みが活性化されるいくことで、アスリートたちのスピードが加速され、陸上界全体に新しい風を吹き込んでいくことは間違いない。そんな瞬間に出会えたこと。そんな瞬間をトップランナーが作ったこと。それらが嬉しい。

写真:松本昇大
文章:足立公平