雪まじりのビアパーティー

3月7日土曜日。気温6℃。雪まじりの雨が降りしきる中、大迫傑率いる約200名のランナーたちが帰ってきた。二子玉川周辺を軽くジョグし終えた彼・彼女らの乾いた喉に、次から次へとビールが流れ込んでいく。そのビールこそが、今回のパーティーの主役だ。「ハシルエール」は、SaltzチームがYellow Monkey Brewingと共同開発したクラフトビール。「ランナーが走った後に飲みたいビール」というコンセプトの元、約1年をかけて構想・開発したという。ワイン酵母だけで発酵・熟成させたというその味は、フルーティーなアロマ感が漂いながらも、爽やかでスッキリとした後味に仕上がっている。まさに、走った後に飲むのにうってつけの一杯だ。(飲みやすいからといって、飲み過ぎには要注意)

ランニングとビールと音楽のセッション

ハシルエールとtens.のヘルシーでおいしい食事を楽しんでいると、突然、ウッドベースの野太い低音が鳴り始めた。ベース、ドラム、キーボードの3名からなるJAZZ BANDの生演奏が始まったのだ。普段、賽(SAI)というバンドでパフォーマンスしている彼らのスウィンギンな演奏に、ランナーの肩は否応なしに揺れ動かされてしまう。そして、ラッパーNAGANSARVERも加わり、この日限りのスペシャルセッションへ。即興でマイクパフォーマンスをする彼の口からこぼれ出た「走るときにも自分のリズムがあると思う そのリズムを大切に」というリリックが、ランナーと音楽をひとつに結びつけた。

JAZZ BANDの演奏が終わると、次はアコースティックギターを抱えた青年が舞台に立つ。

シンガーソングライターの古舘佑太郎だ。ギターをかき鳴らし、声を振り絞りながら歌うそのパフォーマンスに、歓談していたランナーたちも思わず息を呑んで聞き入ってしまう。途中、後藤大樹(元andymori)がカホンとコーラスで、Saltzメンバーの足立公平がベースで参加する場面もあり、オーディエンスの心拍数は自ずと高まっていった。

白熱するジャンケン大会

ランナーの身体がビールと音楽のセッションで十分に温まった頃、予定にはなかったジャンケン大会が始まった。大迫の着ていたパーカーをかけた勝負だ。しかし、勝ち残った3人を大迫が一発で負かしてしまうというハプニングが発生。ここでも勝負強さを見せつけてくる大迫に、会場はこの日一番の盛り上がりをみせた。

アップデートしていくビール

最後に、パーティーは大迫傑のこんな言葉で締めくくられた。「今回のハシルエールはプロトタイプ1。これからどんどんアップデートしていきたい。次は、プロトタイプ2でお会いしましょう。」まさに、仲間とセッションを試みながら高みを目指す彼の競技人生と重なるビールと言えるだろう。DJ Sudoのかける爆風スランプのRunnerを横目に聞きながら、お土産用のビールを抱えて会場を出ると、いつの間にか外は本降りの雪に変わっていた。

文章:山口千乃

写真:松本昇大